3・11さよなら!原発 浜松集会

2022年3月11日夜、福島第1原発事故から11年、浜松駅前でさよなら!原発浜松集会がもたれ、50人が参加した。
集会では、浜岡原発停止裁判の会、浜岡原発を考える静岡ネット、金曜アクション等のメンバーが浜岡原発の再稼働の動きに抗議し、原発の廃炉や汚染水の海洋放出の中止を求めた。昼には浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワークが県知事と中電に要請書を出した。
事故の処理はできず、デブリの取り出しは不可能だ。事故による健康被害は深刻であるにも関わらず、実態は隠されている。さらに、原発の再稼働がすすめられている。原発にNO!の声を。

3・11さよなら!原発・浜松集会アピール

福島第1原発事故から11年、事故の処理は終わっていません。2022年2月、福島第1原発1号機格納容器の内部調査がおこなわれましたが、溶融した核燃料を取り出すことはできません。汚染された大地はもとには戻せません。健康被害も深刻であり、被害者は集団訴訟をおこしています。にもかかわらず、政府と電力会社は実態を隠し、被害への賠償を拒み、原発の再稼働をすすめています。
中部電力は、静岡県の浜岡原発を再稼働させるため、多額の資金を投入して、防潮壁を築き、安全キャンペーンをおこなっています。しかし、直下型の大地震と津波に浜岡原発は耐えることができないでしょう。浜岡原発で大事故が起きれば50キロ、100キロ先も深刻な汚染にみまわれ、私たちは社会と生活を失うことになります。
福島第1原発事故の教訓は、日本での原発の稼働は無理であり、原発はいらないということです。私たちは、浜岡などすべての原発の再稼働に反対し、その廃止を求めます。また、汚染水の海洋放出についても中止を求めます。

2022年3月11日 さよなら!原発・浜松集会参加者一同

中部電力株式会社 代表取締役社長 林 欣吾 様                  2022年3月11日

                  浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク

              抗議並びに申入れ書  

 福島原発事故から11年が経過しましたが、未だに原発事故の収束への展望は見えず、多くの課題は山積したままで、汚染水など今もなお、問題は拡大し続けています。

 原発は、危険なうえにコストは高く、稼働すれば核のごみの排出は避けられず、その処理も不明のままです。再稼働には巨額の投資を必要とし、これらの費用は大手独占の「託送料金」を含めて、すべて消費者に転嫁されています。さらに人口減、低成長、省エネが進行する中では、かつての発電能力は必要ではなく、再エネへの移行が求められています。また原子力規制委員会の審査では、H断層系などについて「活断層の可能性あり」と指摘され、「津波の高さの問題」も含め、重要な課題が山積し、慎重な審査が続いています。
 世界的な気候変動が問題となり、持続可能な社会の実現が求められる中で、2/3の新聞報道によれば、貴社が東電と共同出資しているJERAが、広島のHDと業務提携し、今後5年間に百万kwの太陽光発電を新設し、海外を含め再エネで500万kwを開発するとしています。 

この取り組みこそが、本来あるべき持続可能な脱炭素の取り組みであり、貴社が本来目指すべき道だと思います。

しかし、本年の年頭のあいさつで、貴殿は浜岡原発に触れ、「電力の安定供給の確保に向けては、再稼働も不可欠。地に足をつけて、着実に歩みを進めていかなければならない」と再稼働の必要性を改めて強調し、再稼働に向け執拗に準備を進めています。この行為は、再稼働に反対する県民世論を無視するもので、到底許されるものではありません

 以上のような状況下で、原発による発電を継続する理由は何一つなく、その方針転換こそ貴社にとっても必要になってきているのではないでしょうか。なにゆえ、未だに原発に固執するのかその理由を明らかにして下さい。

また、昨年も抗議しましたが、市民からの質問や要請について「面談や回答は社の方針として行わない」と聞きました。これが本当であればまったく許しがたいことであり、ここに厳重に抗議します。 貴社のコンプライアンスには、「企業倫理」、「社会の信頼を最大の基盤」、「公正誠実に対応」、「人権の尊重」等の語句が連綿と続いています。しかし、貴社が市民との面談や回答を拒否することは、これらの社の方針との整合性を著しく欠くものと言わざるを得ません。

貴社が目指すところの浜岡原発再稼働はもとより、核のゴミ問題、原発過酷事故時の避難問題など、多くの問題について市民へ丁寧な説明は必要不可欠であり、避けては通れないものだと思いますが、市民への説明や質問への回答が、本当に「社の方針」として出来ないのでしょうか。企業としての社会的責任と義務について、貴社はどのように考えているのでしょうか?

 以上の状況を踏まえ、以下の申し入れを行いますので、3月31日までに、面談のうえ文書をもってご回答ただきたくよろしくお願いいたします。


1.      浜岡原発を永久停止し廃炉としてください。

2.      原発を再稼働するいかなる理由も見当たらない中で、あくまでも原発の再稼働を目指す理由を具体的に明らかにしてください。

3.      原発再稼働路線を改め、再エネを中心とする電力事業への転換を進めてください。

4.      貴社が、「市民との面談はしない」、また「市民の質問に対しての回答はしない」としている理由を明らかにしてください。

5.      菊川市の中学校で昨年3月に行った出前授業について、同年7月8日に申し入れた通り、同様の出前事業を行った回数、地域、学校名、対象学年、実施年月日、出前講座に使用した費用について、明らかするとともに、出前授業については、公教育の場であることを踏まえ、原子力発電を容認し推進するなどの教育への介入をやめて下さい。

6.      1,2号機の廃炉で出る廃棄物について、放射性物質の拡散を防止するために、放射能レベルを問わず、クリアランスレベル以下のものを含め全ての廃棄物を、周辺環境への汚染対策や安全を確保したうえで、敷地内に保管してください。

7.      原発再稼働を推進するTV・新聞・雑誌・広報等での宣伝をやめてください。

                                                            2022年3月11日

静岡県教育長 木苗直秀様 高校教育課長様 義務教育課長様                   浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク

文科省「放射線副読本」及び復興庁「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」と題し、県内学校に配布されたチラシの取り扱いに関わる要望・質問書
                                                                                

 2021年10月に改訂され、県内中・高校に配布(希望により一部電子媒体で)された「放射線副読本」および復興庁ちらしは、福島原発事故による健康への影響及び汚染水のALPS処理水に関して、科学的根拠と事実に基づかない誤った情報を青少年に伝える内容です。

 副読本P14(4)健康影響調査の実施の箇所に、「福島県が実施した内部被ばく検査の結果によれば、検査を受けた全員が、健康に影響が及ぶ数値ではなかった」、また「福島県が行った令和3年3月までの調査結果によれば、県民等に今回の事故後4か月間において、体の外から受けた放射線による健康被害が考えにくい」と記載されています。

 しかし、今年1月27日、小児甲状腺がんになり手術を受けた患者6人が東京電力に損害賠償請求をしました。うち4名は手術後にガンが再発しています。訴訟弁護団によれば、「10年間の県民健康調査甲状腺検査で、293名がガンまたはその疑いがあり」と分かり、「うち266人はガンと診断されている。222人が摘出手術を受けている。」としている。

 福島県の原発事故前の年間発生率は、100万人に1~2人であり、事故後にこれだけ急増しているのは、福島原発事故による大量の放射性物質放出が原因と考えられる。これで何故事故との因果関係がないと言えるのか。国及び福島県当局はその科学的根拠を明らかにすべきである。

 またNPO法人「3.11甲状腺がん子ども基金」の調査では、甲状腺がんに罹患した子どもとその家族のうち、約6割が原因は被ばくであると考えています。手術をした医者や大学の研究者の多くは、福島の子どもたちに突出して甲状腺がんが多いのは、原発事故で大量の放射線が外部に放出されたとの見解を示しています。以上から、福島原発事故で大量放出した放射線の影響で、小児甲状腺がんが多発したと言わざるを得ません。

さらに、ALPS処理水についてのちらしに、1.トリチウムは身の回りにたくさんあります 2.トリチウムの健康への影響は心配ありません 3.取り除けるものは徹底的に取り除き、大幅に薄めてから海に流します と記載されています。

しかし、この記述は正確ではありません。放出される汚染水(処理水)は自然界にあるものとは異なり、原子炉の大量の放射線に触れた汚染水に含まれるトリチウムです。自然界由来のものではありません。ALPSで取り除けない放射性物質はトリチウムだけでなく、ストロンチウムなど約60種あり、特にストロンチウムは筋肉のがんを引き起こします。大量の海水で薄めても放射性物質は消えるわけではなく、魚や貝などに食物連鎖で蓄積され、濃度が高くなったものを体内に摂取すると体内被曝の恐れがあります。

 だから福島県の漁民をはじめ多くの県民は海洋放出に反対しています。静岡県漁連も反対しています。

 学校教育において、科学的根拠がない・事実に基づかない内容を教え、伝えることは許されません。よって、以下の要望及び質問をしますので、3月末日までに文書回答をお願いします。その際意見交換の時間を取ってください。

1.「放射線副読本」「ALPS処理水についてのちらし」に関し、私たちが指摘している内容を県教育委員会としてどう考えるのか、その見解を明らかにしてください。

2.内容に問題あると判断されるなら、文科省及び復興庁に、記述の訂正や今後こうしたものを県教育委員会の了解なしに県内の学校に直接送付しないよう要請してください。

3.各市町教委や現場の先生方が、この副読本やちらしの取り扱いに苦慮している事実を把握していますか。

4.文科省が副読本配布に関し、紙媒体を希望するのか、電子媒体を希望するのか、各学校に調査していますが、県下の中・高のうち、電子媒体でと回答した学校数を教えてください。
5.静岡県教育委員会として、国(文科省)に令和4年度以降の県内学校配布を断ってください。

静岡県知事  川勝平太 様                                                                  2022年3月11日

浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク

中部電力浜岡原子力発電所に関する質問及び要請書 

日頃県政のために奮闘され、ありがとうございます。
JR東海のリニア中央新幹線静岡工区工事に対し大井川の水源や南アルプスの自然環境を守る為に奮闘されていること、熱海土石流災害に対する防災対策、コロナ第6波への対応など、県民の命と生活を守る活動大変ごくろうさまです。

昨年の3.11の要請書に対しては5月に回答、更に8月の再質問書に対しては11月に再回答と2回に渡り時間を設けて頂きありがとうございます。

さて浜岡原発の地元・御前崎市では昨秋より、市議会で規制委員会での審査の迅速化を促し、再稼動を求める議員の発言が繰り返され、市長も原発立地市町協議会副会長として規制庁やエネルギー庁に再稼動に向け、審査を急ぐべきとの要請に出向いています。また、資源エネルギー庁は地元4市で、原発を脱炭素のエネルギーミックスとする第6次エネルギー計画の説明会を行っています。こうした状況を踏まえ、私たちは以下の質問及び要望を提出いたします。

知事の回答、見解を文章で頂くか、または原子力防災の責任者で知事の見解を直接知りうる立場の危機管理部長から直接の説明を受けながら文書回答を求めたいと思います。 よろしくご配慮お願いします。 なお回答は4月末日までにお願いします。

1 県防災原子力学術会議について、前回、現在再稼動を議論する状況にはないとした上で、「再稼動は安全性の一部、再稼動だけを議論する場ではない」と回答されました。

では、どのように状況が変化したら議論する段階に入るのか。規制委員会の適合審査が終了する以外に何があるのか。また、どこで議論するのか。

2 中電は、安全工事の進捗状況を御前崎市の立ち合いの下、県による点検を受け、「計画通りに実施されていることを確認したとの講評を頂きました」とHPで書いている。県と御前崎市が立ち会う法的根拠は何か。また「講評を得た」とは、工事の安全性を保証したと受け取られないか。

3 浜岡地域原子力災害広域避難計画については、現在31㎞圏内で2市を除いて広域避難計画を策定しているが、当該市議会質疑でも、いざ実際に事故が起きた場合、安全に避難できると考えていないところがほとんどです。また、原子力防災安全対策課長も「計画は道半ば、50%」と答えています。前回、参加者より過去にやった拡散シミュレーションを再実施して、広域避難の実効性を可視化したらどうかという意見が出ました。スピーディーの使用が出来ないということであるが、民間でも環境総合研究所(東京・品川)など拡散シミュレーションを依頼できる機関もあり、検討する余地はないか。

4 2007年、中電と地元4市の安全協定締結時には福島事故も浜岡原発停止もなかった。

①茨城県の東海第2原発での再稼動の場合の新たな安全協定のような第2の安全協定は必要ないか。

➁近隣市町は立地御前崎市の意向に遠慮してか、浜岡原発の再稼動に関する新たな安全協定の締結を言い出せない。ここはリニア静岡工事のように県が指導力を発揮して新協定の協議の場を作ってほしい。

5 再生エネルギー(新電力)の活用は県も推奨しています。県は自治体電力、地域電力をどう推進しているのか。

➁外部からの大型ソーラーパネル建設など地元との摩擦も起こっています。自然環境や地元の意向との関係をどのように考えているのか。

6 1、2号機の廃炉作業について、廃棄物の内、クリアランス扱いの基準、その分別を明らかにしてください。廃棄物の一部は外に持ち出されているという話があるが保管はどうなっているのか。廃炉作業の安全性は把握しているのか。

7 知事は、「増え続ける使用済み核燃料の問題が再稼働のネック、再稼働すれば13カ月で満杯になる」と発言されています。前回、参加者より、中電は2年以上の余裕があると計算していると指摘があったが、プールの余裕をどう計算されているのか。

8 第6次エネルギー計画では、原発を脱炭素のエネルギーミックスに加えています。中電・林社長は、「脱炭素社会・温室効果ガス排出実質ゼロ計画には原発を活用すべき、浜岡再稼働もその一環となる」と表明していますが、知事は「温室効果ガス排出削減に原発を活用、浜岡再稼働すべき」との意見をどう思うか。 
                          
9 福島のトリチウム他汚染水の海洋放出には静岡県漁連も反対を表明しています。浜岡原発を抱える本県も他人事ではないと思います。福島原発敷地北部には土捨て場があり、大型タンク設置により、長期間安全に陸上保管等が可能です。海洋放出に反対を表明し、全国知事会に反対を働きかけてください。 以上